毎週火曜日に更新すると言いながら第2回から早速遅刻の【ブルーバックスを読もう】.
今回紹介するのはこちらの本です.

健康寿命と身体の科学 老化を防ぐ,50歳からの「運動・食事・習慣」
サブタイトルにある通り,ミドル・シニア層向けの健康法に関する本です.
僕は20代なので,直接のターゲットではありませんが,ブルーバックスを読むと決めたので……
何とか僕にも意味のある知見を見つけられたらと思いながら読みました.
「ガイドラインの策定過程においては(中略)日本人を対象とした研究は8本しか含まれていません.」(84本中)p.5
ふむふむ,きちんと対象が一致するような実験を参考にしなければいけないというわけだ.
「本書で紹介しているデータは,実際にミドル~シニア層の日本人を対象とした研究によって得られたものであり,」p.8
あれ?やっぱり20代男性向けの情報は全くないのでは?
というわけで,20年後の自分に向けた情報を仕入れることになった48くろうであった……
そもそも老化とは
さて,そんないつかはやってくる老化に対抗するため,どんなことをすればよいのか.
その前に,そもそも老化とは何者か.ということについて理解しなければならない.
老化とはホメオスタシスを維持する力の低下だ.
いや,ホメオスタシスなどという用語を,自分が知っているからといって当たり前のように使用するべきではない.
本書においてはきちんと「恒常性(ホメオスタシス)」と日本語も併記して説明している.
まあ,結局専門用語だから日本語で書いても何のことか分らんが……
ホメオスタシスとは,外部の状態に左右されずに身体の状態を一定に保つことだ.
(一応,僕は生体系の研究をしているので講義で聞いた記憶がある)
例えば,外気温が高いとき,体温が上昇してしまう.しかし,体温は36~37℃程度であるのが望ましいのえ,汗をかいたり血管が拡張したりして必死に体温を下げようとする.結果として体温は一定の範囲に収まる.
恒温動物の身体には,基本的に体温が一定になるように温度を調節する様々な機能が備わっている.
温度だけではなく,生物は特定の物質の濃度やpHなど様々なパラメータを一定に保ち続けている.
この保ち続ける力がホメオスタシスを維持する力だ.
老化によってホメオスタシスを維持できなくなることは,毎年,高齢者が熱中症で死亡してしまうことに現れている.
逆に言えば,ホメオスタシスの維持力を鍛えることが,老化を防ぐアンチ・エイジングである.
特に,血液中の糖の量(血糖)が増えすぎないように保つことは,生活習慣病の代表例である糖尿病のリスクに大きく影響する.
2つの運動能力
運動をしている人の方が体力があり,肉体年齢が若い.
これは事実であり,直感にも合致するがどんな運動が効果的なのだろうか?
アンチ・エイジングに有効な運動は持久力トレーニングと筋力トレーニングだ.
それぞれについて,運動による老化への影響を見ていく.
持久力トレーニングの代表例はランニングだ.
持久性のトレーニングを続けると,糖代謝機能が向上する.
糖代謝機能とは血糖を取り込む能力である.
従って,糖尿病のリスクを低減する.
筋肉は血糖の8割を消費する.
筋トレによって,血糖の消費が増えれば生活習慣病のリスクが下がる.
因みに,筋肉が大きくなることによる基礎代謝の増加は大した要因ではない.単純に血糖を多く消費する筋肉に大きな負荷を与えることで,血糖の消費が増えることによって健康を手に入れることができる.
持久力トレーニングは糖の取り込み機能の向上によって,筋トレは血糖の大きな消費によって生活習慣病のリスクを低減する.
これらのトレーニングを組み合わせて,週3回以上運動を組み合わせることで,大きな効果が期待できる.
最高のトレーニング法“ローイング”
ローイングとはボートを漕ぐ動きです.
ボートを漕ぐ時,腕でオールを回しているイメージが強く,上半身だけの運動だというイメージがありましたが実際には異なります.
競技用のボートはシートが前後に動くようになっており,足の進展の力も使ってローイングを行います.
そのため,全身の筋肉を使った筋トレの性質を持っています.
また,ランニングやサイクリングのような持久性のトレーニングとしての性質を持っている.
効果的な2つの運動を組み合わせたローイングは,高齢者の運動機能を向上させるのに最高のトレーニングである.
事実,ローイングエクササイズを行っているグループはウォーキングを行っているグループよりも太い筋肉を獲得した.
また,ひざなどにかかる負担も少なく,無理なく楽しめる運動としても適している.
ローイングエクササイズが最高のトレーニングである理由は他にもある.
それは手軽さだ.
ローイングを実施するにあたって,実際にボートを漕いだり,ジムに通って専用の機械を使う必要はない.
チューブがあればトレーニングは可能だ.
こんな風に

パワー‼
因みにきんに君は背筋のトレーニングとして紹介しているため,足は動かしていない.
本書に筆者は競技ボートのローイングの再現を勧めているので,腕を引くと同時に曲げていた膝を伸ばす動作を同時に行おう.
その後,腕の力を抜き,さらに膝を曲げることで1セットが完了する.
1.腕を引くと同時に足を前に突き出す.
2.肘が伸びるまで前に戻す.
3.膝を手前に引く
この3つを繰り返す1セットを3秒に1回のペースで10分間×2回の行う.
このトレーニングを週3回行うことで,生活習慣病のリスクを大幅に下げることができる.
持久力トレーニング×筋トレ
2種類の運動を組み合わせたローイングにたどり着くなんて,筆者はいろんなことを考えているんだなぁ……
「私自身,高校・大学を通してボート部に籍をおき…」p.241
お前の好きなスポーツ紹介したかっただけかい!
皆さんは持久力トレーニングと筋トレを好きなように組み合わせてやればいいと思います……
因みに本書では運動だけでなく食事や生活リズムに関してもアドバイスを与えています.
運動以外の健康維持法を知りたい方はぜひ本書を読んでみてください.
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